みなさん、充電器って気にしたことありますか。
私はあります。ありすぎて、何台買い替えたか正確に覚えていません。
海外のものも含めると、数えきれないくらい買い換えています。
「数えきれない」と言えば聞こえはいいですが、要するに把握できていないだけです。
iPhoneを買ったときに箱に入っていたやつ、なんとなくAmazonでポチったやつ、「GaN」という文字に惹かれて買ったやつ。
気づけば引き出しの中に、使わなくなった充電器が何個か転がっている。
そんな経験、ありませんか。
私の場合、回り道の末にたどり着いた答えはシンプルでした。
充電器は、自分のデバイスが必要とするW(ワット)数で選ぶ。それだけ。
ブランドでも見た目でもポート数でもなく、W数です。
ただ、この「それだけ」にたどり着くまでに、けっこうな額を使いました。
ここではその回り道で学んだことを全部並べて、W数別の早見表で答えを出します。
先に結論
- 充電器選びの正解は「自分のデバイスが必要とするW数」で決まる
- 30W(Nano III)でスマホ・iPad・MacBook Airは十分67W(Prime)ならMacBook Pro 14インチまでカバーできて、3ポートで同時充電もいける
- ただし複数ポートには落とし穴「合計67W」は「全ポート67W」ではない
- Ankerは最安ではないが、それでも私がAnkerに残っている理由は本文で
Anker充電器の選び方は「W数」だけ|デバイス別早見表
まず答えから。
お手持ちのデバイスを左の列から探してください。
右に書いてあるのが、あなたに必要な充電器です。
| デバイス | 必要なW数(目安) | おすすめ充電器 |
|---|---|---|
| iPhone 12以降 | 20W以上で高速充電 | Nano III 30W(A2147) |
| iPad/タブレット全般 | 20〜30W | Nano III 30W(A2147) |
| Nintendo Switch | 7.5W(TV出力時は39W) | Nano III 30Wで十分 |
| MacBook Air 13インチ(2022以降) | 30W(Apple純正同梱が30W) | Nano III 30W or Prime 67W(A2669) |
| MacBook Pro 14インチ(2021以降) | 67〜96W | Prime 67W(A2669) |
| MacBook Pro 16インチ(2021以降) | 140W(240W対応ケーブル必須) | Anker Prime 100W等(本記事の範囲外) |
| スマホ+タブレット同時充電 | 合計30〜45W以上 | Prime 67W(A2669) |
ここまで読んで「自分に必要なW数」が分かった方。
もうこの記事の半分は終わりです。
あとは予算と相談してください。
でも「なんでW数がそんなに大事なの?」とか「複数ポートのやつ、1台で全部まかなえないの?」という疑問がある方は、もう少しだけ付き合ってください。
W数が大事な理由を、30秒で
充電器のW数は「このデバイスに最大何Wで電気を送れるか」の数字です。
一方、デバイス側にも「受け取れるW数の上限」がある。
つまり100Wの充電器にiPhoneを挿しても、iPhone側が20W程度しか受け取らない。残りの80Wは寝ています。
逆に、充電器のW数がデバイスの要求より低いと、充電はできるけど遅い。
「一晩挿しっぱなしだから別にいい」という方はそれで構いません。
でも外出前の30分で少しでも充電したい人間には、W数の不足は地味にストレスです。
私がまさにそうでした。
MacBookは素直じゃありません
機種によって必要なW数がぜんぜん違う。
ここが一番ややこしいので、Apple公式サポートの情報をそのまま載せます。
| 機種 | Apple純正アダプタのW数 |
|---|---|
| MacBook Air 13インチ(2022以降) | 30W/35Wデュアル/67W/70W |
| MacBook Air(2018〜2021) | 30W/40W Dynamic(最大60W) |
| MacBook Pro 14インチ(2021以降) | 67W/70W/96W |
| MacBook Pro 16インチ(2021以降) | 140W |
| MacBook Pro 13インチ(2016以降) | 61W |
注目してほしいのは、MacBook Air(2022以降)に30Wから70Wまで4種類も対応アダプタがあること。
30Wで使えます。Apple公式が箱に同梱しているのも30Wです。
でも67Wや70Wならもっと速い。
「Airだから30Wでいいでしょ」と決め打つと、後から「もう少し速く充電したいな」と買い足すことになります。
MacBook Pro 16インチの方:140Wのフル急速充電には、充電器だけでなく240W対応のUSB-Cケーブルが必要です。
普通のケーブルでは140W出ません。ここ、意外と見落とされています。
iPhoneはシンプル
iPhone 12以降は、20W以上のUSB-C充電器で高速充電に対応しています。
iPhone 16以降のMagSafe高速ワイヤレス充電には30W以上が必要です。
つまりスマホだけなら30Wの充電器1台で十分。
MacBookも充電したいなら、MacBookの要求W数に合わせた充電器を選べばいい。
スマホはそれで一緒に充電できます。
ここは気楽です。
「3ポートで67W」の落とし穴
ここ、私が一番伝えたいところです。
「3ポートで67W」と書いてある充電器。
3つのポートそれぞれから67Wずつ出ると思いますか。
出ません。
67Wの充電器だから、MacBookにも67W、スマホにも67W。そんな都合のいい話ではありません。
たとえばAnker Prime 67W(A2669)の場合、公式の出力仕様はこうです。
| 使い方 | 合計出力 |
|---|---|
| USB-C 1台だけ | 67W |
| USB-C 2台同時 | 合計65W(配分固定) |
| USB-C 2台+USB-A 1台 | 合計64.5W(配分固定) |
67Wから65Wへ、さらに64.5Wへ。
ポートを増やすたびに合計出力が落ちていく。ここまでは、まあ想定内です。
問題はその先。
配分が固定なんです。
スマホとMacBookを同時に挿したとします。
スマホが先に満充電になっても、MacBook側に回る電力は増えない。
満充電の方を抜くまで、配分は変わりません。
「え、賢く振り分けてくれるんじゃないの?」
私もそう思っていました。
この「満充電後も残りへの配分が増えない」という挙動は、実機で出力を計測したレビュー(複数の検証サイト)で報告されているものです。私自身がワットチェッカーで測ったわけではないので、そこは正直に。ただ、配分固定という設計自体はカタログの出力仕様(上の表)からも読み取れます。
モバイルバッテリーも同じ落とし穴
もうひとつ。
Anker Nano Power Bank 45W(A1638)は、単体では最大45Wの出力です。
ところが複数ポートを同時に使うと、合計出力は24Wに制限されます。
45Wだから、2台同時でも22.5Wずつくらい出るだろう。
裏切られます。
合計24W。元の半分以下。
カタログの「最大○○W」は、あくまで1台だけ挿したときの最大値。
複数台を同時に充電するつもりの方は、買う前に同時出力の仕様だけは見てください。
ここだけは本当に。
GaNで充電器はどう変わったか
ここから少しだけ専門用語が出てきます。字面は強そうですが、覚えることは多くありません。
GaN(窒化ガリウム)は、従来のシリコンに代わる半導体素材です。
要するに、同じW数の充電器でも小さく作れて、発熱も抑えられる。
昔のUSB-A多ポート充電器を知っている方なら、あの「机の上に置く機材」みたいなゴツい充電器を思い出してください。
同じ30Wが、いまやポケットに入るサイズで出せる。
だから嬉しいんです、GaN。
理屈は難しくても、手に取ったときの小ささで納得せざるを得ない。
そういうものです。
Ankerが充電器を小さくしてきた歴史
Ankerは充電器メーカーの中でもGaNの導入が早く、世代を追うごとに進化しています。
| 時期 | 世代 | 何が変わったか | 代表モデル |
|---|---|---|---|
| 2018年 | 初代GaN | Ankerが世界に先駆けてGaNをUSB急速充電器に応用 | PowerPort Atom系 |
| 2021年5月 | GaN II | 基板を立体的に積む技術(3Dスタッキング)で省サイズ・低発熱 | Nano II 45W |
| 2022年7月 | GaNPrime | 複数ポートへの電力配分を最適化。PowerIQ 4.0搭載 | 737/736 など |
ひとつ、よくある間違いを訂正しておきます。
「3Dスタッキング(基板の立体実装)はGaNPrimeからの技術」と書いている記事を見かけますが、実際にはGaN II(2021年5月)の段階で導入されています。
GaNPrimeの新しさは「複数ポートへの電力配分の最適化」であって、3Dスタッキングの導入ではありません。
出典はAnker公式のプレスリリース(2021年5月・GaN IIの発表)とPC Watchの報道(2022年7月・GaNPrimeの発表)です。
こういう細かいところ、間違えたまま書いている記事が意外と多い。
(私も調べるまで知りませんでしたが)
「GaN II」「GaN III」みたいな世代名、ちゃんとした規格だと思ってませんか。私は思ってました。ここを別記事で掘り下げています。

私がAnker充電器を買い替えてきた話
ここで少し、私自身の話をさせてください。
スペックの話が続いたので、息抜きだと思って読んでもらえれば。
数えきれないほど買い替えてきた
正直に言うと、私の充電器の買い替え台数は把握できていません。
海外のものも含めると、もう数えきれないくらいです。
ただ、振り返ってみると、選び方の軸がはっきり変わってきたことは分かります。
USB-AとUSB-Cの口数の割合。
充電器を選ぶとき、私はずっとこれを見てきました。
USB-Aのポートがいくつあるか、USB-Cが何口ついているか、その構成で選ぶ。
最初の頃は、USB-Aの口が多いほうが偉いと思っていました。
6口あれば全部挿せるのでえらい。
でもそのうちUSB-C機器が増えてきて、気づけばUSB-Aの口がどんどん余る。
いまはむしろ、USB-Aは要らないくらいです。
そういう変遷をたどりながら、何台も買い替えてきました。
マルチデバイス運用の答えは、まだ出ていません
iPhone、iPad Pro、iPad mini、MacBook。
それに周辺機器もろもろ。
これを全部、どの充電器でどう回すか。
正直に書くと、まだ答えが出ていません。
いろいろ考えているところです。
「結局どれ」を書いている人間が「まだ答えが出ていない」と言うのは格好つかないですが、これが本当のところです。
出張の定番は、小型のUSB-A1とC2
持ち歩きは2系統あります。出張用に1個と、普段から持ち歩くものが1個。
最近の出張で一番多い組み合わせは、ちっちゃくてUSB-Aが1個、USB-Cが2個の小型充電器。
「それさえあれば基本的には全部賄える」
これが今のところの落ち着きです。
充電器→モバイルバッテリー→ケーブル数本のタコ足
もうひとつ、最近の運用で気に入っているのが「タコ足」です。
充電器からモバイルバッテリーにつなげて、そのモバイルバッテリーからUSBケーブルを数本つないで、複数台を同時に充電する。
充電器1台の口数で足りない分を、モバイルバッテリーの口数で補う。
言ってしまえばそれだけなんですが、これが意外と快適です。
どの買い替えも「今度こそこれで最後」と思って買っていたこと。
でも「最後」は来なかった。
来なかった理由は、たぶんW数をちゃんと理解していなかったから。
ポートの数やサイズや「なんとなくの安心感」で選んでいたから。
この記事を書いているのは、みなさんに同じ回り道をしてほしくないからです。
(と言いつつ、回り道も回り道で、けっこう楽しかったんですけど)
Nano III 30WとPrime 67W、どっちを買うか
ここまで読んでくださった方に、結局のところ「どっちを買えばいいの?」に答えます。
スマホ・タブレットが中心の方:Nano III 30W

USB-C 1ポート、30W。
iPhone高速充電もiPadも、MacBook Airの普段使いもこれ1台で足りる。
約36×29×29mm、重さ約40g。ポケットに入れても存在を忘れるくらいの軽さです。
ネット上の評価も安定していて、Amazon評価は4.6/5(約3,790件)。
「コンパクト」「プラグ収納が便利」という声が目立つ一方で、「発熱がそこそこある」「プラグの位置が中心からずれていて隣のコンセントと干渉する」という指摘もあります。
スマホ中心なら、ここで止まっていいと思います。
小さくて、必要十分。
なお、Nano IIIの公式ページには「GaN」の文字はありません。
GaN採用かどうかは公式に明記されていないので、ここでは断定しません。
ただ、Ankerの小型化の系譜の先にいるモデルであることは間違いありません。
MacBook Proも充電したい方:Prime 67W

USB-C 2ポート+USB-A 1ポート。最大67W。
MacBook Pro 14インチの67W充電に対応しつつ、残りのポートでスマホやタブレットも挿せる。
ただし前述のとおり、複数ポート同時使用では配分固定の制約あり。
「全部挿せる」と「全部いい感じに速い」は別物です。
出力を実測したレビュー(マイベストなどの検証サイト)では「超小型で3ポートがすごい」「USB-C実測約66.97Wで公称どおり」という声がある一方で、「固定配分で満充電後も配分が増えない」という指摘も見られます。いずれも私の実測ではなく他者の計測値ですが、複数で一致している数字です。
ちなみにAmazon上の型番表記は「A2669N11」、Anker公式サイトの仕様欄では「A2669N12」と書かれています。
紛らわしいですが、同じ製品です。販路によって型番の末尾が違うだけ。
「UGREENでよくない?」——私は他社で全部失敗しました
正直に書きます。
UGREEN Nexode 65W(3ポート・GaN)という選択肢があります。
スペックはAnker Prime 67Wと同等クラスで、しかもこちらのほうが手を出しやすい。
「じゃあUGREENでよくない?」
間違ってはいません。
スペック上は同等クラスですから。
ただ、私はUGREENを使ったことがあります。
結果は、大したことなくて、すぐ手放しました。
UGREENだけではありません。
RAVPowerも使いましたが、すぐ壊れました。
CIOのモバイルバッテリーも使いましたが、これもすぐダメになりました。
他社に浮気しては戻り、浮気しては戻り。
結局、Ankerばっかり揃っちゃっているんです。
理由を格好よく言語化できるわけではありません。
「サポートが安心」とか「ブランド力」とか、そういう立派な理由があるわけではなくて、他社を試すたびに何かしら引っかかって、気づくとAnkerに戻っている。
それだけのことです。
ちなみにApple純正の充電器も持ってはいます。
Apple製品を買ったときについてくるやつ。
もったいなくて、蓋を開けられていません。
価格を最優先するなら、UGREENは間違いなく有力な選択肢です。
そこは正直に言っておきます。
ただ、価格だけで選んで私のように引き出しの肥やしを増やすこともある。
そこも正直に言っておきます。
ケーブルがしょぼいと、充電器の性能は出ない
ここ、意外と盲点です。
67Wの充電器を買ったのに、昔から家にある謎のUSB-Cケーブルで「なんか遅い」と言う。
それ、だいたいケーブルが原因です。
私が実際に使っているケーブルとモバイルバッテリーを紹介します。
Anker 543 USB-C & USB-C ケーブル

黒の0.9m(A80E1)は販売終了になってしまいました。今は色違い・長さ違いで現行ラインアップが出ているので、そちらを。
最大240W対応。データ転送480Mbps。
約20,000回の折り曲げ耐久テスト済み。
日常使いのケーブルとして、とりあえずこれを買っておけば間違いないと思っています。
Anker Prime 高耐久ナイロン USB-C & USB-C ケーブル 240W

最大240W対応。約300,000回の折り曲げ耐久(一般の約8倍)。リサイクルナイロン素材。
MacBook Pro 16インチの140W急速充電をフルに使うなら、240W対応ケーブルは必須。
普通のUSB-Cケーブルでは140W出ません。
Anker Nano Power Bank(45W・巻取り式)

最大45W出力。巻取り式USB-Cケーブル内蔵。
旅行や出張で「コンセントが見つからない」ときの安心感は大きい。
ケーブル内蔵なので忘れ物の心配もない。
ただし、複数ポート同時使用時の合計出力は24W。
45Wはあくまで単独使用時の最大値です。
45Wの名前に期待しすぎると、ここでも裏切られます。
ネット上の評価では「巻取りケーブルが便利」という声が多い一方、「ノートPCの最速充電には力不足」「温度制御で入力が19W程度に落ちる場面がある」という指摘も。
そのほか、「旧モデルより短く厚くなってポケットに入れにくい」という声もありますが、私は意外と気に入っています。
Anker MagGo Power Bank Slim

MagSafe/Qi2対応のワイヤレス充電対応モバイルバッテリー。
薄さ約15mm。iPhoneの背面にピタッとくっつけて充電できます。
ちなみにiPhoneまわりの小物だと、AirPodsの“耳から落ちる問題”をちょっとした工夫で解決した話も書いています。

よくある質問
「30Wの充電器でMacBook Proは充電できる?」
できます。ただし非常に遅い。
MacBook Pro 14インチのApple推奨は67〜96Wなので、30Wでは作業しながらだとバッテリーが減っていくこともあります。
出先の緊急用ならいいですが、常用するなら67W以上を選んでください。
「iPhoneの充電に67Wの充電器を使ったら壊れる?」
壊れません。
デバイス側が受け取れるW数を超える電力は流れない仕組みです。
67Wの充電器にiPhoneを挿しても、iPhone側が20W程度しか受け取らないので問題ありません。
むしろ余裕のある充電器を1台持っておくほうが、使い回しが利いて便利です。
「GaN充電器は発熱する?」
します。
ただし従来のシリコン充電器と比べて、GaNは同じ出力で発熱が抑えられるのが特徴です。
それでもフル出力で使えば温かくなります。
ネット上のレビューでは「Nano III 30Wで約50℃」という測定報告もあります。
使用中に多少温かいのは正常ですが、異常に熱い場合は使用を中止してください。
「AnkerのPowerIQ 4.0って何?」
GaNPrime世代から搭載されている、複数ポートへの電力配分を最適化する技術です。
「どのポートにどれだけ電力を回すか」を充電器側が判断してくれます。
ただし前述のとおり、Prime 67Wでは配分が固定される場面があるため、万能ではありません。
おわりに
充電器は、こだわらなければ何でもいい道具です。
でもW数を間違えると「充電が遅い」「同時に挿したら全然速くない」というストレスが、毎日じわじわ積もる。
逆に言えば、自分のデバイスに合ったW数の充電器を1台選べば、それで終わりです。
この記事の早見表が、みなさんの充電器選びを1台で済ませる助けになれば本望です。
MacBookまわりの配線をすっきりさせたいなら、充電器と一緒にUSB-Cハブもセットで考えると幸せになれます。
ハブ選びのポイントはUSB-Cハブの記事にまとめています。先に失敗の型だけ知っておきたいなら、USB-Cハブで後悔する5パターンの記事もどうぞ。
デスクに据え置きでMac+iPadを使う配線は、Mac miniでiPadをメインディスプレイにする記事でも触れています。



