みなさん、充電器って気にしてますか。
私は気にしています。
何年も前からAnkerを何台か買い替えてきて、気づいたら手元の充電器はぜんぶGaN(窒化ガリウム)になっていました。
なのに「GaN IIとGaN IIIは何が違うの?」と聞かれたら、正直よくわかっていなかった。
わかっていなかったので、調べました。
調べた結果、ひとつだけ先に言わせてください。
GaN充電器で後悔している人の大半は、世代の違いではなく選び方で転んでいます。
先に結論
- GaN充電器は小さい・軽い・発熱が少ない。そこは本当
- 「GaN II」「GaN III」等の世代名は業界統一規格ではなく、メーカーごとのマーケティング表現
- 後悔の正体は世代ではなく、複数ポートの出力配分・端末との相性・ケーブル・W数の選び間違い
- 充電器選びの正解は「自分のデバイスが必要とするW数」で決まる
- 定番メーカーの具体的な機種選びは、Anker充電器の記事で詳しくまとめています
定番メーカーの具体的な機種選びは、Anker充電器のW数別おすすめは別記事で詳しくまとめています。
そもそもGaN充電器って何がいいのか
窒化ガリウム(GaN)は、従来のシリコン半導体に比べて電力の変換効率が高い素材です。
充電器に使うと何が起きるかというと、同じW数でも小さく・軽く作れる。
そして発熱も抑えられる。
たとえばCIOのNovaPort TRIO II 67Wは、手のひらサイズのコンパクトさ。
同じ67W級でも、GaNを使わない従来型のACアダプタは倍近い重さになることがあります。
GaN充電器が売れている理由はシンプルで、同じパワーを、より小さな箱で出せるからです。
スペックではなく物理的なサイズ感の勝利。カバンに入れて持ち歩く人なら、この差は毎日効きます。
「GaN世代」は業界統一規格じゃない
ここが一番大事な話です。
ネットで「GaN II」「GaN III」と検索すると、世代ごとに「◯%小型化」「◯℃低温」といった数値が出てきます。
あれを見て、私も最初は「ああ、世代が上がるほど良いのか」と素直に思っていました。
違いました。
危うく数字の大きいほうを買うところでした。
「GaN II」「GaN III」は、USB-IFやIEEEのような公的団体が定めた規格ではありません。
メーカーやOEMが製品を売るためにつけたマーケティング上の呼び名です。
実際に調べてみると、同じ「GaN III」でも解説サイトによって数字が食い違います。
あるサイトでは「GaN IIIはGaN IIより20〜35%小型化」、別のサイトでは「40〜50%小型化」。
同じ世代名で数字が一致しない時点で、統一規格ではないとわかります。
数字に説得力を感じていた自分が、ちょっと恥ずかしくなりました。
では大手メーカーはどうしているか。
Ankerの公式ページを見ると、世代を「GaN II」「GaN III」のような数値では語っていません。
代わりに語っているのは安全技術「ActiveShield」の世代(2.0、3.0)で、温度監視の回数を1日300万回から600万回に増やした、といった具体の改善です。
CIOは「NovaIntelligence」「NovaSafety」という自社技術名。
チップメーカーのNavitasは「GaNFast」「GaNSense」という技術ブランドで世代を刻んでいます。
つまり、世代の軸がメーカーごとにバラバラなんです。
「GaN IIIだから買い」という判断は、根拠が曖昧です。
見るべきは世代の名前ではなく、そのメーカーが何Wを何gで出しているか、安全技術に何を載せているか。
地味ですが、ここが分かれ道です。
GaN充電器のデメリットより怖い「後悔パターン」5つ
GaN充電器を買って後悔した人の声を、Amazonレビューや検証メディアの記事をもとに集めてみました。
見えてきたのは、後悔の原因がほぼ5つに集中しているということです。
世代の違いで後悔している人は、実はほとんどいません。
1. 複数ポートの出力配分を知らなかった
これが最も多い。
67Wの充電器だから、MacBookにも67W、スマホにも67W。
そんな都合のいい話はありません。
複数のポートに同時に挿すと、出力は分配されます。
たとえばAnker Prime 67W(A2669)は、1台なら67W、2台同時だと合計65W、3台なら合計64.5Wです。
CIO NovaPort TRIO II 67Wも、単ポートなら67Wですが、2ポート同時で合計65W、3ポート同時では合計60Wになります。
具体的にどのポートに何Wずつ配分されるかは、NovaIntelligenceという自動配分機能が端末に合わせて振り分ける仕組みですが、ポートごとの配分公式は公開されていません。
メーカーによって配分の仕方が違います。
あるテストでは、65〜100W級のGaN充電器4製品などで、2台目を挿した瞬間に1台目がリセット→再接続される現象が、テストした製品で広く確認されています(もちろん例外あり)。
充電が途中で止まるように見えるのはこれが原因です。
買う前にやること:そのメーカーの公式サイトで、複数ポート使用時の配分表を確認する
配分表を公開していない製品は、避けたほうが無難です。
2. 端末との相性問題
充電器と端末の間には、規格の相性というものがあります。
有名なのはThinkPadとの組み合わせ。
一部のThinkPadは、PPSという充電規格に対応した充電器を使うと「充電開始→停止→開始→停止」を無限に繰り返す症状が出ます。
原因はPC内部のTI製コントローラと充電器内部のPPS APDOの干渉で、充電器が悪いわけでもPCが壊れているわけでもない。
CIO CIO-G65W1CやAnker Nano II 30Wなどで症状が確認されています。
逆にAnker PowerPort III 45W Podなどでは問題なく充電できる。
同じメーカーでも型番によって結果が違うという厄介な話です。
Galaxyの「超急速充電」も似た構造です。
PPS対応の充電器でないとフルスピードが出ない。PD対応だけでは足りない場合がある。
買う前にやること:自分の端末の型番+充電器の型番で、相性報告がないか検索する
面倒ですが、これだけで「買ったのに充電できない」を防げます。
3. ケーブルがボトルネックになっていた
充電器を新しくしたのに速くならない。
そういう場合、犯人はケーブルであることが多いです。
特に100Wを超える充電(USB PD 3.1のEPR)では、E-Marker付きのケーブルが必須になります。
E-Markerは、ケーブル自体に「自分は何Wまで通せるか」を知らせるチップが入っている仕組みです。
対応していないケーブルを使うと、充電器が本気を出せません。
買う前にやること:充電器と同時に、対応W数が書かれたケーブルも確認する
手元の古いケーブルをそのまま使い回すと、せっかくのGaN充電器が宝の持ち腐れになります。
たとえば100W対応で長さも余裕のあるケーブルを1本持っておくだけで、充電器のスペックをちゃんと引き出せます。

4. 高W=大きい、と思い込んでいた
「100W級は持ち歩けないくらいデカいんでしょう」という声もありますが、これはGaN以前のイメージです。
GaN充電器の場合、100Wクラスでもかなり小さく作れます。
Anker Prime 67Wは39.8×38.5×50mmで、Apple純正67Wの約半分のサイズ。
もちろん20Wのほうが30Wより小さい、という基本は変わりません。
ただ「高Wだから持ち運びを諦める」という判断は、2026年のGaN充電器では見直す余地があります。
5. 安いものに飛びついた
ネットで「安い GaN 充電器」と検索すると、聞いたことのないメーカーが山のように出てきます。
例えば、65W級のGaN充電器を複数台テストした結果、5V出力の電圧誤差がメーカーによって大きく違いました。
Ankerはほぼ誤差なし。一方で、一部の製品は6%を超える常時誤差が出ていた。
電圧誤差が大きいと端末に負荷がかかります。
目に見えないところで品質がばらつく。これが「安物買いの銭失い」の本体です。
言いたいのは「高い充電器を買え」ではありません。
配分表を公開している・安全技術の名前がある・検証メディアでテストされている——そういうメーカーを選ぶだけで、後悔の大半は回避できます。
結局、何Wを選べばいい? W数で選ぶざっくり目安
GaN充電器を選ぶとき、最初に見るべきは世代でもメーカーでもなくW数(ワット数)です。
これは「自分が充電したいデバイスが、何Wまで受けられるか」で決まる話なので、難しくはありません。
| W数帯 | 主な用途 | 備考 |
|---|---|---|
| 20〜30W | スマホ1台 | iPhone/Galaxyの標準的な急速充電はこのあたり |
| 45W | スマホ+タブレット、軽いノートPC | MacBook Airの充電に十分な帯域 |
| 65W | ノートPC+スマホ同時 | 一番「万能」と言われる帯域。多くのノートPCをカバー |
| 100W | 大型ノートPC+複数デバイス同時 | MacBook Pro 16インチクラスの高負荷にも対応 |
| 140W | ハイエンドノートPC+フル構成 | PD 3.1 EPR対応。まだ対応機器は限定的 |
これはあくまで目安です。
実際の充電速度は端末側の対応W数にも依存するので、「大は小を兼ねる」は半分正しく半分そうでもない。
67Wの充電器を買っても、iPhone側が30Wまでしか受けないなら30Wで充電されます。
余ったW数は無駄にはなりませんが(発熱が減る方向に働く)、速くもなりません。
自分が充電するデバイスの最大受電W数を1台ずつ確認する。
そのうち一番大きいW数以上の充電器を買う。
複数デバイスを同時に充電するなら、さらに上の帯域を選ぶ。
選び方はそれだけです。
主要メーカーの違い(ざっくり)
GaN充電器を出しているメーカーは多いですが、ここでは日本でよく見かける3社を並べます。
| Anker | CIO | UGREEN | |
|---|---|---|---|
| 安全技術 | ActiveShield 2.0 / 3.0(温度監視) | NovaSafety+NovaIntelligence(自動配分) | Thermal Guard(温度をリアルタイム監視し出力を自動調整) |
| 複数ポート配分の公開 | 公式サイトに掲載 | 同時使用合計W数を公開(ポート別配分はNovaIntelligence自動) | 総合W数の記載はあるが詳細配分は要確認 |
| 67W帯の代表製品 | Anker Prime 67W(A2669)39.8×38.5×50mm | NovaPort TRIO II 67W(2C1A)CIO-G67W2C1A-N2 | Nexode PD 65W(型番15333)66×40×31mm・約130g |
ひとつだけ正直に補足すると、UGREENは温度監視技術「Thermal Guard」を掲げている一方、複数ポートで使ったときに各ポートへ何Wずつ配分されるかは、AnkerやCIOのように公式の配分表として公開されておらず、確認できませんでした。情報公開の姿勢には、こうした差があります。
CIOについても正直に書いておくと、TRIO II 67Wは2ポート同時で合計65W・3ポート同時で合計60Wという総枠は公開されていますが、ポートごとの配分はNovaIntelligenceが自動で振り分ける設計で、「USB-C1に何W・USB-C2に何W」という固定の配分表は出していません。
Ankerのように、複数ポート使用時の合計W数を機種ごとに公式サイトで明記してくれるメーカーとは、このあたりの情報開示に違いがあります。
深い比較はここではしません。
Ankerは、このブログでは別の記事で1記事まるごと使って書いています。
W数ごとの機種選び、複数ポートの配分、実際の使用感まで、そちらで詳しくまとめているので、Ankerが気になる方はそちらをどうぞ。

CIOやUGREENが気になる方向けに、ここまでの話の条件を満たす機種を一応置いておきます。
CIOのTRIO II 67Wは、USB-C×2+USB-A×1の3ポート構成で、単ポート最大67W。
2ポート同時なら合計65W、3ポート同時でも合計60Wを確保できるので、ノートPC+スマホ+もう1台という使い方に向いています。

UGREENのNexode 65Wも同じく3ポート構成。
65W級としてはサイズ・重量のバランスが良い定番です。配分表が公式で出ていない点は、さっき書いたとおり。そこを承知で選ぶなら、悪くない一台です。
3ポート同時が日常ならCIO、ノートPC+スマホの2台中心で価格を抑えたいならUGREEN——という選び方でいいと思います。

2026年の動き——PD 3.1とEU共通充電器指令
ここ1〜2年で変わりそうなことを、2つだけ。
ひとつ目はUSB PD 3.1(EPR)。
従来のPDは最大100Wまででしたが、PD 3.1では最大240Wまで対応します。
新しい電圧(28V/36V/48V)が追加され、48V×5A=240Wという計算です。
ゲーミングノートPCのような高負荷な端末も、USB-Cケーブル1本で充電できるようになる。
ただし対応機器はまだ少ないので、「今すぐ240W充電器を買え」という話ではありません。
140W以上の充電器を検討している人は、PD 3.1 EPR対応かどうかをスペック欄で確認しておくと将来困らない、というくらいです。
ふたつ目はEU共通充電器指令。
EUではノートPCを含む電子機器にUSB-C+PD対応を義務づける指令が段階的に進んでいます。
報道によれば、ノートPCへの適用は2026年4月28日が義務化のタイミングとされています。
これは日本の規制ではないので直接の影響はないのですが、世界的にUSB-C+PD充電が「標準」になっていく流れは確実です。
GaN充電器はその流れの中心にいます。
どちらも「今すぐ何かしなきゃ」という話ではなく、「次に買うときに頭の隅に入れておくと損しない」くらいの知識です。
Ankerの具体的な機種選びは別記事で
ここまで読んで「結局どれを買えばいいの」と思った方へ。
この記事の役割は「GaN充電器の世代に振り回されないこと」と「後悔パターンを事前に知ること」です。
具体的に「この機種を買え」という話は、あえてここでは書きませんでした。
Anker充電器については、W数ごとのおすすめ・複数ポートの配分・実際に使い続けての感想を、別記事で1本まるごと書いています。
GaN充電器の選び方が分かったら、次はそちらへどうぞ。

USB-Cハブ経由で給電を考えている方は、ハブ側のPD対応W数にも注意が必要です。USB-Cハブの選び方ガイドも合わせてどうぞ。
ハブ選びで具体的にどこで転ぶかは、USB-Cハブで失敗する5パターンにまとめています。
おわりに
GaN充電器の「世代」は、思っていたほど信頼できる指標ではありませんでした。
調べてみて一番はっきりしたのは、後悔の原因がGaN技術そのものにはないということ。
複数ポートの出力配分、端末との相性、ケーブル、W数の選び間違い。
どれも買う前に10分調べれば避けられることばかりです。
GaN自体は、いい技術です。小さくて軽くて、ちゃんと充電できる。
ただ、その「ちゃんと」は、自分の使い方に合った1台を選べたかどうかで決まる。
世代の数字に踊らされかけた身としては、それくらいがちょうどいいと思っています。
みなさんも、よい充電器ライフを。
それでは。




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