みなさん、ポケットジンバル選んでますか。
私は選び終わりました。
この夏、いちばん高いOsmo Pocket 4Pを半年待って発売30分後に買いました。
その顛末は別の記事に書いたので、今日はその話ではありません。
今日は、買う前の話です。
いま、DJIのOsmo Pocketシリーズは3世代が同時に売られています。
2023年のPocket 3、今年4月のPocket 4、6月のPocket 4P。6万円台から11万円台まで、きれいな値段の階段になっています。
私は最初、これを新型が出たあとの在庫処分だと思っていました。
調べるうちに考えが変わりました。これはどうも、わざと作ってある階段です。そして、どの段で降りるかで買い物の意味がまるで変わります。
階段のいちばん上まで登った私が、買う前のみなさんのために本気で考えます。
先に結論
- 撮りたいものが決まっていて、望遠で寄りたいなら4P。60mmの二眼は、業界がこの6月に一斉に向かった次の主戦場
- はじめての1台なら4。いちばん売れているのは最上位ではなく、この真ん中
- 安さで選ぶなら値下げ後の3。ただし内蔵ストレージが無いのはこの世代だけ
いま、たぶん、わざと、3世代がぜんぶ買える状況
ふつう、新型が出たら旧型は店頭から消えていくものです。
ところがOsmo Pocketは、3世代が現役で売られています。
きっかけは去年の12月でした。
DJI認定ストアの告知で、Pocket 3の価格改定が出ています。スタンダードが79,200円から63,360円へ。クリエイターコンボが99,880円から79,860円へ。きっちり2割引です。
そこへ今年、4月にPocket 4、6月にPocket 4Pが加わりました。
値段の階段を、安い順に。
| 税込価格 | モデルとコンボ | 発売 |
|---|---|---|
| 63,360円 | Pocket 3 スタンダード | 2023年10月 |
| 77,660円 | Pocket 4 エッセンシャル | 2026年4月 |
| 79,200円 | Pocket 4 スタンダード | 2026年4月 |
| 79,860円 | Pocket 3 クリエイターコンボ | 2023年10月 |
| 99,000円 | Pocket 4Pスタンダード | 2026年6月 |
| 99,880円 | Pocket 4 クリエイターコンボ | 2026年4月 |
| 113,300円 | Pocket 4P Vlogコンボ | 2026年6月 |
Pocket 3は2025年12月改定後の価格です。実売は日々変動します。すべて当ブログ調べです。
この表、私は眺めるほどよくできていると思っています。
8万円弱と10万円弱の2箇所で、新旧の値段がほぼ並んでいるんです。
8万円弱では、新型4の素の構成と、旧型3の全部入り。
10万円弱では、4の全部入りと、4Pの素の構成。
つまりこの階段は「同じ予算で、新しさを取るか、付属品を取るか」を2回聞いてくる作りになっています。偶然でこうは並ばないと私は思います。
で、この階段が商売として機能しているのか。
しています。それも、圧倒的に。
BCNランキングという、全国の家電量販店などの実売データがあります。2026年6月の月間デジタルビデオカメラの売れ筋です。
1位 Pocket 4クリエイターコンボ
2位 Pocket 4スタンダード
3位 Pocket 3
4位 Pocket 3クリエイターコンボ
5位 Pocket 4エッセンシャル
上から5つ、ぜんぶOsmo Pocketです。
6月29日発売の4Pは、集計期間にたった2日しか入っていないのに8位と10位。トップ10のうち7枠がOsmo Pocketで、DJI以外はInsta360が9位に1枠だけでした。
3世代並売は、売れ残りの処分ではありません。
6万円台から11万円台までの全価格帯を自社製品で埋める布陣です。どの予算の人が来ても、階段のどこかの段に着地する。よそのカメラを検討する隙間が値段の上に無いんです。
そしてもうひとつ、この売れ筋で面白いのは、いちばん売れているのが最上位の4Pではなく真ん中の4だということ。
いちばん高い段で降りた私としては、少し複雑です。
スペックの違いは「どこで進化が終わったか」で見る
主な数字を、3世代で。
| 項目 | Pocket 3 | Pocket 4 | Pocket 4P |
|---|---|---|---|
| センサー | 1型 | 1型(新型) | 1型+1/1.28型の二眼 |
| レンズ | 20mm F2.0 | 20mm F2.0 | 20mm F2.0+60mm F1.8 |
| 光学ズーム | なし | なし(2倍ロスレス) | 3倍(デジタル最大12倍) |
| 動画 | 4K/120fps | 4K/240fps | 4K/240fps |
| ダイナミックレンジ | 公称なし | 14ストップ | 17ストップ(広角) |
| カラー | 10-bit D-Log M | 10-bit D-Log | 10-bit D-Log2(広角のみ) |
| 静止画 | 約940万画素 | 約3,700万画素 | 約3,700万画素 |
| 内蔵ストレージ | なし | 107GB | 103GB |
| 重さ | 179g | 190.5g | 230g |
| 被写体追尾 | ActiveTrack 6.0 | ActiveTrack 7.0 | ActiveTrack 8.0 |
こちらもすべて当ブログ調べです。
数字が多いので、私がこの表で見てほしいところを3つに絞ります。
きれいに撮る土台は、4の時点で完成している
4K/240fpsのスローも、約3,700万画素の写真も、4も4Pも同じ数字です。色の設計も、3のD-Log Mから4で本格的なD-Logに上がり、14ストップのダイナミックレンジが公称されるようになりました。画質の世代交代は、3から4で起きています。
4Pが上乗せしたのは、望遠と、広角の17ストップ
つまり4Pは、画質競争の続きではなく、別の戦いを始めた世代です。60mmの中望遠と光学3倍ズーム。この意味は後でじっくり書きます。
ただし。シネマ向けカラーのD-Log2が使えるのは広角側だけで、しかもD-Log2に設定するとズームそのものが使えなくなります。全部盛りに見えて、全部同時には使えない。ここは買う前に知っておくべき制約だと私は思います。
重さは正直に、単調に増えている
179g、190.5g、230g。4Pは3より51g重い。
毎日持ち歩く道具の51gは、スペック表でいちばん地味で、いちばん確実に効いてくる差です。私は軽さも性能のうちだと思っているので、階段を登る前に一度立ち止まってほしい数字です。
差額で、何を買っているのか
数字を財布側から読み直すと、世代ごとの性格が見えてきます。
Pocket 3は、完成形が6万円台になった
私はこのPocket 3を、実は4Pを買う前に9日間レンタルして旅行に持ち出していました。9日間で6,822円。
そのときの体験の良さが、そもそも私がこの沼に入った入口です。
1型センサー、4K/120fps、くるっと回すと撮影が始まる回転式の画面。
発売から2年以上たった今も、日常と旅行の記録でこれが足りない場面は、私の使い方では思い当たりませんでした。
Pocket 2から3への進化が最大で、その後は磨き上げ。そんな解説もありましたが、9日間使った実感として、私もこれは当たっていると思います。土台の気持ちよさはこの世代ですでに出来上がっています。
じゃあなぜ、私は3を買わなかったのか。
新型の噂が出ていたからです。旅行から帰って、もう買う気になっていたのに、まもなく新しいのが出るらしいと知って、思いとどまりました。結果として半年以上待ち続けることになるんですが、それは私の性分の問題で、3の欠点ではありません。
弱点も正直に書いておきます。内蔵ストレージがありません。3世代でこれだけです。microSDを買い足す前提なので、その数千円ぶん、表の値段より実質は少し高くなります。写真の画素と被写体追尾も世代なりです。
それでも6万円台。しかも今月のセールでは5万円台後半まで下がる場面もありました。実売は動くので概算ですが、階段のいちばん下の段はセールのたびにさらに低くなります。
Pocket 4の私の読み
正直に言うと、この世代だけ、私は触ったことがありません。
だからここは体験談ではなく、数字と売れ方から組み立てた、私の読みです。
14ストップ、240fpsのスロー、約3,700万画素の写真、107GBの内蔵ストレージ。ズームボタンとカスタムボタンで、物理ボタンも2つ増えました。
さっき書いたとおり、画質の土台はこの世代で完成しています。
そして売れ方です。BCNの6月ランキングで1位と2位を取ったのは、4Pでも3でもなく、この4でした。
私はこれ、市場の答えとして素直だと思います。3より新しくて、4Pより2万円安い。望遠が要らない人が引き算をしていくと、ちょうどこの真ん中が残るんです。
一方で、4で撮れる映像の大部分は3でも撮れるという、正直なレビューでの指摘もあります。根本のコンセプトは変わっていないので、3を持っている人が慌てて乗り換える理由は薄い。
つまり4は、3からの買い替え先としてではなく、これから始める人の1台目として一番強い。私はそう読んでいます。
Pocket 4Pの望遠は、業界の次の主戦場だった
6月29日に出た、現行の最上位です。
DJIがこのシリーズで初めてレンズを2つ積んで、60mmの中望遠と光学3倍ズームが載りました。4スタンダードとの差額はおよそ2万円。この2万円は、はっきり望遠代です。
私が半年待った理由も、この望遠でした。
で、買ったあとに知ったことがあります。
この6月、ポケットジンバルに二眼を載せたのはDJIだけではありませんでした。
Insta360がLeicaと組んだLuna Ultraというカメラを6月15日に出していて、レンズ構成は広角20mmと望遠60mm。4Pの二眼と、焦点距離がまったく同じです。発売はわずか2週間差。あちらは119,800円で、DJIの階段のてっぺんよりさらに上に段を作ってきました。
広角一本で撮る時代の次は、60mmの望遠だと2つのメーカーが同じ月に同じ答えを出したわけです。
私が払った2万円は、物欲の答えであると同時に業界の次の主戦場への入場料でもあった。半年待っただけのことはあった、と思うことにしています。
弱点はスペックの章で書いたとおりです。D-Log2は広角だけ設定中はズーム不可。そして230gの重さ。
私の4P購入までの一部始終と周辺機器の当たりハズレは、4Pを買った側の正直な記録に全部書きました。
世代を移るとき、アクセサリーには崖がある
比較記事があまり書かない話をひとつ。
手持ちのアクセサリーが、世代替わりでどうなるかです。
まず、3から4へ。これは緩い坂です。
NDフィルターなどのレンズ系、Ulanziの底面アダプター、それにバッテリーハンドルまで、装着も充電も使い回せます。ただしハードケースだけはダメで、4は高さが約4.5mm大きくなったせいで、3の純正ケースに入りません。惜しい。
次に、4から4Pへ。ここが崖です。
4Pは二眼になってレンズまわりの形が別物なので、レンズ系のアクセサリーが軒並み使えなくなります。フィルターの定番メーカーのPolarProですら、4P専用品を出せたのは発売の2日後です。単眼から二眼への移行は、周辺機器の世界では断崖なんです。
ところが、この崖を平気で越えるものが1つだけあります。
マイクです。
DJIのワイヤレスマイクはOsmoAudioという仕組みで、レシーバーなしで本体に直結できます。DJI公式の互換リストを見ると、Mic 3もMic Mini 2もMic MiniもMic 2も、Osmo Pocketと直結の対象です。世代を跨いでも、マイクへの投資だけは生き残る。
なので、私の提案はこうです。
いつか階段を登るつもりが少しでもあるなら、アクセサリーの投資はマイクに寄せておく。フィルターやケースはその世代限りですが、マイクは次の世代にも付いてきます。
で、どれを買えばいいのか。タイプ別に、私の答えです
3行の箇条書きで済ませたくないので、買う人の顔を思い浮かべながら書きます。
はじめてのポケットジンバルで迷っている人は、4
真ん中の4です。触っていない私が言うのは変に聞こえるかもしれませんが、理由は単純で、画質の土台がこの世代で完成していて、内蔵ストレージのおかげでmicroSDのことを考えなくてよくて、いちばん売れている世代だから使いこなしの情報も一番速く集まる。1台目は、道の真ん中を歩くのがいいと私は思います。

新しさより安さ、記録が主役の人は、値下げ後の3
私が9日間使った実感で言えば、日常と旅行の記録に、これで足りない場面はありませんでした。microSDだけ忘れずに。セール期はさらに落ちるので、急ぎでなければ待つ手もあります。

撮りたい対象が決まっていて、望遠で寄りたい人は、4P
人物に寄りたい、遠くのものを撮りたい。対象が具体的に言えるなら、2万円の望遠代は払う価値があると私は思います。業界がこぞって60mmへ向かったのは、そこに需要の本丸があるからです。
私が買ったのはマイク付きのVlogコンボでした。スタンダードとの差額14,300円で、DJI Mic Mini 2やミニ三脚など4点が付く構成です。マイクは世代を跨いで生き残る装備なので、階段の上の段では一番筋のいい差額だと思っています。

撮る対象は決まっていないが、いちばんいいのが欲しい人
はい、私です。
気持ちは誰より分かりますし、止めません。趣味ですから。
ただ、買ってから撮るものを探す日々は、思ったより長いです。いきなり10万円が重ければ、先にレンタルで数日試す手を、経験者として置いておきます。私は9日間の下見に6,822円払いました。10万円の買い物の保険としては、安かったといまでも思っています。
おわりに
新型が出た直後は、旧型が値下がりして、選択肢がいちばん豊かになる時期です。
いまのOsmo Pocketがちょうどそれで、6万円台から11万円台まで、財布に合わせて降りられる段が全部そろっています。しかもこの階段は、セールのたびに下の段がさらに低くなる。
買い時としては、かなり恵まれた夏だと思います。
私はいちばん高い段で降りて、ほぼ何も撮っていません。
それでも後悔していないのが我ながら困ったところで、そうならないための正直な記録も置いておきます。

みなさんも、よいカメラライフを。
それでは。




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