みなさんご存知の通り、2020年の1月にまたロレックスの定価価格改定の情報が入ってきました。
中古市場での高騰が落ち着いて、少しずつ中古価格が下がってきて踊り場に来たかなというタイミングでのこの定価値上げです。
今回の定価の値上げについて詳しく語るよりも、これからのロレックスへの我々消費者の購買スタンスはどうしたらよいかということを書いてゆきます。
値上げは今に始まった話ではない
ロレックスの値上げは別に今始まった話ではありません。
諸先輩方には「オメガ15万、ロレックス30万」という時代を過ごされた方も多くいらっしゃるでしょう。
事実、時計に興味のないバブル世代の方々は当時の印象そのままに現在まで来ている方も多くおり、改めて現在のロレックスの価格を知ると非常に驚かれるようです。
バブルの頃のように金が唸るほどあると腕時計も市場で存在感が生まれるのでしょうが、失われた20年のようにあまり金銭的に余裕の無い間はそういった嗜好品、装飾品は市場での存在感は失われがちです。
リーマンショック直後、世界の景気が落ちるところまで落ち込んだ時、正規店にはロレックスが選び放題で置いてありました。
そんな最中の2010年に発表された現行サブマリーナの当時の定価が735000円でした。
そして2020年に予定されている新しい定価は943800円です。
値上げ幅は20万円以上で、値上げ回数は2020年のを含むと4回です。
確かに2019年10月に値上げしたばかりなのに、その3ヶ月後の2020年1月に値上げというスパンは非常に早いですが、10年間で20万円も上がっているということからわかるように、値上げはここ最近気まぐれに行なっているのではなく、ロレックスが長期的スパンで計画的に値上げを行なっているということです。
値上げの意図を汲まなければならない
喉から手が出るほど欲しい、ブランド力
「ロレックスは30万円くらい」という時代から、「ロレックスを買うには100万円以上必要」という時代がやってこようとしています。
経済はインフレしながら進んでゆきますから、腕時計やロレックスに限らず物価の上昇がなされるのは然るべきです。
しかしこの一連の値上げはメーカー=ロレックスが意図を持って行なっていると考えて差し支えないでしょう。
雲上ブランドや世界3大もしくは5大腕時計ブランドと呼ばれる腕時計メーカーの中にロレックスは入っていません。
歴史に詳しい方ならご存知のように、ロレックスは「労働者の時計」が出自であり「歴史の浅いメーカー」であるのは否めません。
ヨーロッパは古来からの階級や身分を重視する、というと誤解がある言い方かも知れませんが、そのメーカーがどのような出自であるかは非常に重視される世界でもあります。
王室制度等がある国が多い所以でしょうか。
先ほどの世界的腕時計ブランドには、そういった王室等との関わりを示すエピソード等が多く残されています。
翻ってロレックスは実のところ歴史が浅く(実はセイコーよりも歴史が浅い!)、短期間にロレックスがメーカーとして現在よりもさらに高級な世界的腕時計メーカーという立ち位置に昇華させるためには、セルフブランディングを行なってゆくというのが正攻法であるのは間違いありません。
高級化への3つの手法
歴史を置いておいて高級になるためには
- 内部機械の技術を向上させる
- 外装に宝石等の装飾品を追加したり意匠を施すことで物理的な価値を上げる
- 単純に価格を上げる
などがあります。
1つ目は独立時計師などが得意な、超複雑機構などを駆使した技術料として高級腕時計を提供することです。
2つ目は特定のいくつかの時計メーカーへの批判としてよく聞かれるような「外装一流、中身三流」といったやり方です。
Apple Watchの高級なモデルもこのやり方です。
中身や機能は変わりませんが素材やベルトの意匠で高級化しているのがいい例です。
3つ目はロレックスに限らずオーソドックスなやり方です。
有名なのはレクサスのブランディングが有名ですね。
高級車としては新規参入であるレクサスブランドの価値を最大限高めるために、技術的な料金だけでない意図的な高価格化と販売ルートの限定を行った結果「一部の人しか買えない高級車」というイメージを作り上げ、羨望の的にまで昇華させたその作戦はさすが世界のトヨタと言わざるを得ません。
サブマリーナも2010年から中身も外装も全く変わっていないのに20万円も値上げすることを考えたら、やり方は少し違うかも知れませんが、短期的な高価格化による意図的な高級化志向という意味では近いものがあるかも知れません。
日本の定価が世界的に見ると安くなっているから日本国内定価を世界標準に合わせていっているのだという言説もいくつか見受けられますが、半分正解で半分間違いだと思っています。
確かにスイスのロレックス本社からしたら日本だけ安くなっているのは問題と捉えるかも知れませんが、マーケティングから言ってそれまで日本が安かったのは「ほかの国よりも安くしないと売れなかった」のであり値上げをするのは「高くしても売れる経済的ポテンシャル判断と需要喚起に成功した」結果なのです。
いずれにせよ遅かれ早かれ値上げはあっただろうし、これからも断続的に値上げがなされるだろうというのが私の考えです。
市場も同じ考えであるから中古市場でロレックスは資産価値があるとか投資の一つとか言われるのでしょう。
ですがこれは「投資が先か値上がりが先か」でしょうね。
かのチューリップバブルと一緒です。
欲しくなった時がまさに買う時
底値は常にその時の定価
これから価格、少なくとも定価が上がり続けて行くとしたら、新品の一番の底値はまさに今です。
今というのは2019年12月現在という意味ではなく、欲しくなったその時ということです。
来年値上げがなされたとしても、それで値上げが終わりではなくおそらく断続的に続きます。
ということは、欲しいという気持ちに気付いた時にすぐ買うのが、これからは底値で買うことのできる唯一の方法となるのです。
以前、Apple Watchは型落ちの安くなったものでいいから買うべきという内容の記事を書きましたが、ロレックスではそうはいきません。
人気モデルでは、中古より新品の方が安い・現行より型落ちの方が価値が高いという二重の逆転現象があるからです。
というかApple Watchと機械式時計では所有、使用する目的が違いますし、Apple Watchは世界で一番売れている腕時計とは言えど、デジタル家電ですので寿命がいつかやってきます。
だからこそ型落ちや中古に対する価格の大きな下落があるのですが。
余談ですがApple Watchは便利家電として見ると素晴らしいですので、機械式時計にしか興味の無い皆さんもぜひ使ってみてください。
腕時計は意外と分割が賢い
お金を貯めてから目標の時計を買うという野望を抱いている方もいらっしゃるとは思いますが、それはあまりおすすめしません。
金利があるからという思いがあるかと思いますが、それ以上にせっかく貯めた現金を一気に放出するのはもったいないです。
経営感覚のある人ほど大きな買い物は現金一括ではなく分割で買います。
手元に現金を残しておくことの重要性や減価償却の考え方があるからですね。
そうは言っても最後は個人的な趣味ですので支払い方は人それぞれでしょうが、
- 10年前にサブマリーナを分割で金利を払いながら買う
- 10年間お金を貯めて20万円値上がりしたサブマリーナを一括で買う
のだったらなんと金利を払っても絶対に前者の方が安いでしょう。
事実、私も10月の値上がり前にデイトジャストを買いましたが、2019年10月・2020年1月の2度の値上がりを勘案したらすでにある程度金利分の元は取っていると思われます。
欲しいものを早くから使えるということのメリットもあります。
どうせいつかは買うのならば、人生の中でそのアイテムを使う期間が早ければ早いほど人生は豊かになりますし、次、その次の時計に進むステップを早くすることができます。
資産価値や売却という考え方からすると、一般的なローンは減価償却と残債がおおよそ比例してゆくようになっています。
住宅ローン等がその典型ですね。
しかしロレックスだと、分割購入の支払い終了後は車や住宅といった一般的に分割購入されやすいものと比べて価値が大きく残っています。
下手をすると買った時よりも数年使った時計の売却価格の方が高いなんてこともあります。
そのようなことからも、思い立ったら様々な方法を駆使して買う努力をするべきです。
おわりに
思いのほか生臭い話を書いてきましたが、原点は「ロレックスの魅力」という引力に私たちが惹かれているということです。
これだけ高級腕時計市場が品薄になり高価格化して活況ということは現在の日本の経済状況はある程度元気なのかも知れません。
冒頭にもありましたが、ロレックスが最も入手しやすかったのはリーマンショック後でした。
常に頭の中に置いておかなければいけないのは、バブル期から現在まで景気の上下はありましたが定価は景気に関係なく上がり続けているということです。
だとしたら、結論はひとつ。
欲しいと思った時が最安値、迷わず買おうロレックスなのです。
みなさんも、よい腕時計ライフを。
それでは。
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