君は知っているか、ロレックス・ミルガウスよりもオメガの多くのモデルの方が耐磁性能が15倍高いということを

腕時計コラム

みなさん、腕時計愛していますか。
腕時計で最も恐ろしいことと言えば磁気帯びです。

耐磁性能に優れた時計といえば真っ先に思い浮かぶのがロレックスの「ミルガウス」でしょうが、オメガは耐磁性能においてもっと上のモデルを多数生み出していました。

今回はそれのご紹介。

腕時計の大敵、磁石と磁気帯び

機械式腕時計の磁気帯びとは

腕時計、特に機械式腕時計に大敵なものは水没や衝撃ですが、意外と知られていないのが磁気の影響です。
簡単に言うと、

  • 磁石は近づけた金属を磁石にする
  • 機械式腕時計は内部に至るまで大小の金属の塊
  • 互いに近い場所にあると磁石は腕時計を磁石に(磁気帯び)する
  • 腕時計内部の細かい金属が磁気帯びして時計狂いまくり

ということなのです。

機械式腕時計において磁石は大敵。

とはいえ「日常生活で磁石なんかないですけど?」
と思ったあなたは甘い甘い。

現代社会は磁石に囲まれています。

日常に潜む磁石

あなたの持つスマートフォン、それは磁石の塊です。

あなたの持つタブレット、それは磁石の塊です。

パソコンもそうですしAirPodsなどのフタの開閉部分財布・カバンの留め具にも磁石と、なにもかも磁石です。

例えば、こちらはiPad Proの裏面にどれだけ磁石があるか可視化したもの。

黒い部分が磁石です。

途方もない数の磁石です。
これじゃあiPad Proも冷蔵庫にくっつくはずです。

というように、日常のデジタルガジェットには磁石がたくさん入っています。
現代生活と機械式腕時計は親和性はあまりないのかも知れません。

基本的な対策法

磁石の入っていると思われるものからは機械式腕時計は離す、これが鉄則です。

おおむね5〜10センチ以上離すのがよいとされているようです。

装着して日常利用ぶんには磁石の影響を受けることはありませんが、外した時には意識的に離しておくのがよいかと思われます。
スマホ、タブレット、パソコンの上には間違っても腕時計を置いてはいけません。
仕事中などに一旦、腕時計を外してタブレットの上に…アウトです。

一度磁気帯びしたものは私たちの手ではどうにもなりません。
メーカーや時計専門店に行って時計の磁気を取る脱磁をしましょう。

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磁石・磁気に強い腕時計

ロレックス ミルガウス

時計の大敵である磁気に多くの人が手にするメーカーで最初に挑戦したのはロレックスです。

それがロレックス・ミルガウスです。

この時計は研究者のニーズに応えるため開発された腕時計です。

ロレックス ミルガウスは科学業界の要望に応えるべく、最大1,000ガウスまでの耐磁性を実現した。一般的な機械式時計の信頼性と精度は50~100ガウスの磁場で影響を受ける。 
しかし、多くの科学者が、研究の過程でその数値をはるかに超える強力な磁場にさらされている。ロレックスはその解決策として、世界に先駆けて卓越した耐磁性を誇るミルガウスを開発した。時計の名前の「ミル」はフランス語で「1000」という意味である。ミルガウスはとりわけ、ジュネーブの欧州合同原子核研究機構(CERN)の科学者が着用する時計として有名になった。

ロレックスコレクション・ミルガウス

というように、専門職の方の使用にも耐えうる腕時計とアピールしています。

しかし、現代では専門職の方以外でも日常に潜む磁石の影響は大きく、至近距離なら携帯電話等からの磁気の影響は1000ガウスは軽く超えるといいます。

というか研究職・医師の方には1000ガウスの耐磁性能でも物足りないというのが実際のところだと思われます。
MRIの内部でも15000ガウスあるようなので、放射線技師・開発者の方ならミルガウスを装着していても一発で時計は磁気帯びするでしょう。

ミルガウスの最初のモデルは1956年に登場していますので、今では実用用途よりも記念碑的な意味合いの強いモデルでしょう。

オメガ シーマスターアクアテラ

そんなミルガウスを大きく上回る耐磁性能を持つのがこのオメガ・シーマスターアクアテラ15,000ガウスです。

これはその名の通り15000ガウスに耐える耐磁性能があります。
驚きです。

先ほどのMRIの磁気の話がありましたが、15000ガウスに耐えうるということは逆に考えると理論上はこの時計をしたままMRIに入っても全く磁気の影響無く使えるということです。

もっと驚きなことがあります。
それは、現行のオメガは8900系のムーブメントを搭載していればシーマスターアクアテラ15,000ガウスに限らず多くのモデルで15000ガウスの耐磁性能を持っているということです。

シーマスターアクアテラ15,000ガウスを耐磁に対する記念碑的なモデルとして残し、アクアテラに限らず現行のモデルの多くに15000ガウスの耐磁性能を持たせているのです。

これはすごいことです。

キャリバー8900の基本性能は以下のように説明されています。

コーアクシャル エスケープメント搭載の自動巻きムーブメント。METAS認定のマスター クロノメーター。15,000ガウス以上の耐磁性能。シリコン“Si14”製のフリースプラングテンプ、2重香箱、両方向巻き上げ式ローター。タイムゾーンファンクション。アラベスク調ジュネーブウェーブが美しいロジウムプレート加工が施されたローターとブリッジ。

オメガ・ムーブメントキャリバーオメガ8900

すごいです。
どういうつもりなんでしょう、オメガ。

高い耐磁性能を特別なものにせず、一般的なモデルにまで広げるというその設計思考に感服します。

耐磁性能の違いはなぜ生まれる?

  • ロレックス・ミルガウスは1000ガウス
  • オメガ・キャリバー8900系搭載モデルは15000ガウス

この15倍もの耐磁性能の違いはなぜ生まれるのでしょうか。
それは磁気から時計をどのように守るかの違いです。

まず、ロレックス・ミルガウスのような1000ガウス程度の耐磁性能を持った時計はどのように磁気から守っているか。
それが以下の図です。

このように、腕時計ケースの内部にもう一つ耐磁性能を持つケースを入れ、その中にムーブメントを入れることで時計の性能を磁気から守っていました。

これだと1000ガウス程度の耐磁性能しか発揮できませんでした。

これに対しオメガは時計に使用する部品自体の耐磁性能を高めたのです。
ひげゼンマイを特殊シリコンにしたりすることで、

  • 時計のパーツを磁気から守るのではなく
  • 磁気の影響を受けないパーツにする

という発想の転換で非常に高い耐磁性能を実現しています。

パーツ自体が磁気の影響を受けないということは日付表示も可能ですし、シースルーバック、いわゆる裏スケも可能なのです。

オメガ8900系ムーブメントおすすめモデル

そんな驚異の耐磁性能のオメガ8900系ムーブメント、ここで私のおすすめモデルを少しご紹介します。

シーマスターアクアテラ 220.13.41.21.03.002

革バンドのこちらのモデルはビジネスシーンにもしっかり合うオーソドックスなモデルです。
おとなしく見えますが、シーマスターらしいブルーの文字盤に、内部では15000ガウスに耐え抜く耐磁性能があるというのがロマンを感じますね。

スピードマスター 304.33.44.52.03.001

こちらはムーンウォッチでお馴染みスピードマスターです。
クロノグラフがついてしかもムーンフェイズがついて15000ガウスの耐磁性能です。

もはや感服です。
オメガさん、すごいよ。

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おわりに

時計業界は世界的に見ても、また息を吹き返しています。
そして各メーカーがしのぎを削っています。

耐磁性能は現代において日常でも特殊な環境下でも非常に重要な性能の一つですから、その点オメガは柔軟な開発姿勢を見せていますね。
実際、理系研究室にいる私の友人も磁気のストレスの高い場におりますが、腕時計の選択肢が増えるのは嬉しいと語っていました。

デザイン…機能…満足のいく腕時計選びのために、私たちが悩み続ける日々は続きます。

みなさんも、よい腕時計ライフを。

それでは。

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