気がつけば、車だけでなく携帯までも残クレで買うのがスタンダードになっている

コラム

青天井で高額化するiPhoneやiPad。
某官房長官の号令で携帯電話料金体系の見直しが徐々になされているのは周知の事実ですが、機種変更などで購入する際に「意外と月々の支払い変わんねえな」って思ったら、

「これ残クレじゃねえか!」

と気づいてしまったので、そこから思った小話を。

「えっ、俺、残クレでiPhone買ってる…?」

車だけじゃない、残クレ

iPhoneの機種変更をしようとしたときの話。

こちら48ヶ月払いで契約していただいて、25ヶ月目以降は本体をお返しいただければ次の機種に変更できますよ

返さないとダメなんですか?

私

はい、そういうプログラムでございます

途中で機種変更したら、残りの残債は?

私

残債と同じ価格で下取りいたしますのでゼロになります

(それ残クレじゃん)

私

気づいちゃった。

それ残クレじゃん。

車を買う際にディーラーから必ず一回はオススメされる残価設定型クレジット。
通称残クレ。

トヨタ支払いお助けプラン https://toyota.jp/request/howtobuy/

自動車における残クレは、車両全体の価格から下取り価格を引き算して分割することで
「新車にこの値段で乗れるの?」
という印象を訴求して販売を目指すもの。

3年で乗り換えないで全部払い切るまで分割払いしたら、結局金利的にも損ですし、3年で乗り換えたら借金チャラになってまた次の新車に乗れますよ〜
そして次も残クレにしたらお得ですよ〜

という形で未来永劫顧客の囲い込みはできるし、コンスタントに中古車市場は在庫は潤うしでディーラーとしてはウハウハな訳であります。

メインはこの顧客の囲い込みにあります。

携帯キャリアの葛藤と着地

翻って、携帯キャリアの話。

某官房長官から「携帯料金は高すぎる、下げよ」との号令がかかった時の、総務省と各携帯キャリアのドタバタは容易に想像がつきます。

どうしようか、という葛藤の末に生み出されたのが通信料金と機種代金を分離方式とする料金体系です。
これがどういう結果を生んでいるかというと、

ドコモはこれまでは、例えば約12万円の端末の場合、実質5万円以上を割り引くなど端末代を実質的に割り引く「月々サポート」というサービスがありました。しかし、分離の導入に合わせて、これを終了します。このため、分離方式は端的に言うと、通信料金は下がるけど端末代金は上がるしくみなのです。

NHKオンライン 携帯料金「最大4割値下げ」 本当はどれだけ安くなる?

のように、結局、足並み揃えてキャリアが編み出したロジックが

  • 通信料金と機種代は別でございます。
  • 通信料金は利用者の選択によって安くなります。
  • 機種代は官房長官の意向とは関係ございません。

みたいなこと。

なんだか狐につままれたような気持ちになりますが、まあ、大人なんてそんなものです。

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機種代金の(実質)値下げと囲い込みを同時に実現する残クレ

さて、ここで冒頭の私に戻ります。
青天井で上がり続けるiPhoneの値段。
特に私なんてiPhoneXSMAX512GBなんて選んでしまったものだからさあ大変。

しかし、残クレ方式のトクするサポートで購入するとあら不思議。
キッカリ25ヶ月目で機種変更すると、まだ機種代金半額しか払ってないのにチャラになって最新機種買えますよ〜というもの。

ソフトバンク トクするサポート https://www.softbank.jp/mobile/products/tokusuru-support/

まあ、車の場合もこの場合もそうだけど、うまく使えば金銭的には得なのでしょう。
経済的に買えないはずのユーザーに買わせることも可能になる訳ですし。

しかし、この方式のキャリアの一番のメリットはやはりユーザーの囲い込みでしょう。

これから携帯業界はMVNOの拡大やMNOの新規参入で戦国時代になるだろうから、今のうちの囲い込みは後々効いてくるのです。

コインの裏表で、ユーザー側のデメリットはキャリアに囲い込まれることにあります。

「残クレ方式は本当は金銭的に損をする」的な問題は、囲い込まれることに比べたら微々たるものと私は考えます。
通信料金を見かけ安くして途中解約手数料も1000円程度に大幅値引きして、通信会社間の行き来をしやすくしているように見えるのですが、その代わりに端末は残クレ方式にすることで次もその次も同じキャリアで端末を買うように誘導されているのです。
一度このループにハマれば囲い込みは成功です。

結局得なの?損なの?

メリットデメリットを理解しないで騙された気になるな

こういう新しい契約方式が生まれると、そのたびに方々から出てくるのが

「聞いてなかった、騙された、損しかなかった」

という嘆きです。

ですが最初からちゃんと理解していれば印象も違ってくると思うのです。
手放しで端末代金が半額になるなんてあり得ない話で、ユーザーが得をする代わりにキャリアも何かしら得をしている訳です。
それが先ほどから言っている、割引と囲い込み(囲い込まれ)のトレードオフ関係なのです。

自分に合った買い方を選べばそれでいいじゃない

端末の購入の仕方は、今や様々あります。

一番ややこしくないのは、アップルストアや量販店に行って端末だけを買ってくることです。
これだとSIMフリー版が一発で手に入りますから、キャリアでのややこしい手続き無しにSIMを入れ替えるだけでおしまいです。

ですが、今や20万を超える機種もあるスマートフォンをポーンと全員が買える訳ではありません。
そうしたら、キャリアの力を借りて買わせていただきましょう、その代わりに縛りがあるのは承知しましょうというのがキャリアで買う目的だと思うのです。

その考え方が浸透しないのは、ガラケー時代の

キャリアでないと端末は買えないし、端末と通信料金は毎月合算支払いする

という今や幻の呪縛が私たちの頭に残っているからでしょう。

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大きな買い物は何事もよく調べてから

30歳を目前の私が、おそらくこれまでに払ってきた携帯料金は百万単位でしょう。
これは私だけが莫大な金額なのでなく、多くの人も同じことです。

いつの間にか大きな買い物になった携帯電話ですが、ほとんどすべての人が使ってお金を払っている割に、意外と専門的な所が多くて興味を持ったり詳しく調べたりする人は意外と少ないのが面白いところです。

自分の好きなもの、興味のあるものはよく調べるのでしょうが、これだけ一般化した携帯電話は日常生活の必修事項として知っておかないと、おそらく後悔することになると思いますよ。

それでは。

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